【例その1】



仮にA君という受験生がいたとしましょう。A君は、近い将来の独立を夢見て、資格試験

の勉強に日夜励んでいます。


A君は、過去の試験に出たことが全て載っているような定評のあるテキストを読み込み、

その後、過去問を抱えてラストスパート
に入りました。


「こいつをすべてマスターするんだ! 試験まで待ったなし。根性、見せてやるぜ、エン

ジン全開フルスロットルだ!!」


エネルギーの枯渇もなんのその、A君はハチマキを締め、目を血走らせながら、ペンを

走らせ続けます。

長時間、椅子から離れることのないその身体には、まるで根が生えているよう。


……はい、ご苦労様デス。

根性、コンジョウ、ド根性。

その強靭な精神力には、敬意を表したいと思います。


しかし、A君は、1つの資格を取るために、3つ分の資格試験に合格するエネルギー

を使ってしまいました。
非常にもったいないことです。

A君は、資格試験の勉強をしながらでも、もっと遊べたのに。もっと他のことに目を向け

られたのに。

ちょっと(いや、かなり)効率が悪かったですね。





  【例その2】



B君の場合は、もっと辛いかもしれません。


「よし、資格を取って独立するぞ」と意気込み、定番化している分厚いテキストを購入

しました。

コイツを完璧にマスターするぞと神に誓い、1ページめから読み始めます。


ところが、額に汗を浮かべてウンウン唸るだけで、テキストはいっこうに進みません。


最初に立てた進度表など記憶の片隅からも消え去り、いわば海図を持たずに航海に

出た船。荒波にもまれ、脱出口を求めてさ迷い続けますが、いっこうに光は見えてき

ません。


1ヶ月も経った頃、B君は考えます。


「わかった。これは、このテキストが悪いのだ。自分に合っていないのだ。よし、

もっと僕に合ったテキストを買ってこよう」


そう考えたB君は、書店に走り、新しいテキストを買ってきます。


さらに1ヶ月後。B君は、また書店に走ります。別のテキストを買うために。

その結果、B君はテキストの種類にだけは、やたら詳しくなります。テキスト評論家

と呼べるくらいに。


かくして、また一人、テキストマニアの誕生です。

ああ、はかなきかな、長期にわたる受験人生……。

                  HOME